
2月の菅平高原。早朝のゲレンデではカメラマンたちが機材を担いでコースへ向かいます。一方、東京・中目黒の弊社スタジオでは実況や中継の準備が進んでいます。距離にして約200km。離れた場所にいながらも、ひとつのチームとしてライブ配信を作り上げる。私たちが取り組んでいる「リモート制作」です。
コロナ禍をきっかけに広まったリモートという考え方は、映像制作の現場にも大きな変化をもたらしました。かつては放送局や大規模中継車でしか実現できなかったリモートプロダクションが、通信回線や映像機器、伝送機器の進化によって、ライブ配信規模でも現実的な選択肢となっています。私たちも2026ジャパンパラアルペンスキー競技大会のライブ配信で、この手法を活用しました。

限られた予算の中で、何を優先するか
私たちがリモート制作を選ぶ理由は、単純なコスト削減ではありません。もちろん、機材輸送や宿泊、移動といった負担を軽減する効果はあります。しかし本当に重視しているのは、「限られた予算の中で何を優先するか」という視点です。
例えば、制作スタッフ全員を現地へ派遣する代わりに、その費用をリプレイシステムの導入や通信回線の冗長化に充てる。視聴者にとって価値のある部分へ予算を振り向けることで、番組全体の品質を高めることができます。リモート制作は単にコストを削るための仕組みではなく、限られた条件の中で最大限の中継を実現するための選択肢なのです。
スキー場だからこそ活きる仕組み
スキー場は、ライブ配信という視点では決して楽な現場ではありません。通信環境や電源の確保、天候への対応など、都市部の会場とは異なる課題があります。だからこそ、撮影は現地、制作は東京という役割分担が有効になります。現地にすべてを持ち込むのではなく、それぞれの場所の強みを活かすことで、限られた条件の中でも質の高い番組制作が可能になります。
現場と東京で作るスポーツ中継
今回の大会では、実況やスイッチングだけでなく、リプレイ運用も東京側で実施しました。アルペンスキー競技は選手のスタート間隔が短く、次々と競技が進行します。前の選手の滑走が終わらないうちに次の選手がスタートすることも珍しくありません。そのため現地スタッフと東京スタッフが常に連携しながら、できるだけ多くの選手の滑走を視聴者へ届けられるよう運用を行いました。
また、競技中に収録した素材を活用し、表彰式までの待ち時間にはハイライト映像を制作・送出しました。ライブ配信は、その場で終わる映像ではありません。競技の魅力をどのように伝え、どのように振り返るかまで含めて考えることが重要だと私たちは考えています。
リモート制作の本当の価値
ここまで話してきたリモート制作の本当の価値は、現場と制作拠点、それぞれの強みを活かしながら、限られた条件の中で最大限の中継を実現するためのひとつの選択肢です。技術は日々進化しています。しかし重要なのは、新しい技術を使うことそのものではなく、その技術で何を実現するかです。
私たちはこれからも、「どうすればより良い映像を届けられるか」を考えながら、現場に合わせた配信の形を提案していきたいと思います。
実際の配信映像
今回ご紹介したリモート制作の事例は、2026ジャパンパラアルペンスキー競技大会ライブ配信のアーカイブ映像でご覧いただけます。
【2026 ジャパンパラアルペンスキー競技大会】
大回転(GS)
https://www.youtube.com/live/BIpmm_yn_x0
回転(SL)
https://www.youtube.com/live/hWciPQBY1EY
【関連サービス】
東京・中目黒スタジオについては、ヴィッツのスタジオ紹介ページもご覧ください。
https://www.vits.co.jp/archives/service/studio
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